料理家・星野奈々子さんに聞いた 「下味冷凍」のメリットって?
働くお母さんにとって、毎日の食事づくりは重労働。仕事が終わったらメニューを考え、買い物をして、下ごしらえをして…。少しでも効率よく作業をして、家族との時間も大事にしたいですよね。一児の母でもある料理家の星野奈々子さんも、仕事に子育てに每日大忙し。しかし、料理を短時間で仕上げる「下味冷凍」のテクニックを使い、たったの15分で家族3人分の夕食をつくっています。どんなに忙しくても毎日の食卓を豊かにする、「下味冷凍」のメリットとポイントをうかがいました。
その日の下ごしらえいらずで調理時間が短縮
我が家は、夕方から夜にかけてが一日のうちでもっともバタバタする時間帯。子供を保育園まで迎えに行き、帰ったら急いで夕食の準備、洗濯物の取りこみ、部屋の片付けなど多くの家事が待っています。家事をこなしつつも、家族との時間も確保しなければならないので、少しの時間も無駄にはできません。我が家に限らず、そういうご家庭は少なくないと思います。
特に食事の支度は行程が多いですし、毎日ゆっくり買い物に行けるわけではありません。効率よく作業するにはコツが必要です。
そこで私が活用しているのが、下味冷凍です。作り方は簡単で、ジップロック®フリーザーバッグにお肉やお魚をいれて調味料で味付けをして、冷凍庫で保存するだけ。これだけで冷凍している間にお肉やお魚に味が染み込むので、食事の準備にかかる時間をグッと短縮することができます。
たとえば、豚こま肉にケチャップとすりおろした玉ねぎを漬けこんで冷凍し、使う日の朝に冷蔵庫へ移動すれば、夕食を作るタイミングで自然解凍ができているので、すぐに調理に取りかかれます。味付けがしてあるので、下ごしらえが短縮できますし、下味冷凍のストックで計画的に献立が決められるのでメニューで悩むこともなくなります。また、冷凍することで長期保存が可能になるので、まとめ買いもしやすくなります。買い物に行く回数が減らせれば、それだけで1時間以上の時短になりますよね。
おかげで我が家では、夕食の準備にかかる時間は15分くらいです。時間にゆとりができたぶん、子供と接する時間が増えたことがうれしいですね。そして何より、夕方の忙しい時間帯の中で、“すでに夕食の準備ができている”という安心感を持てます。
調理方法を変えればアレンジも自由自在
「冷凍しておくと味が落ちてしまうのでは?」というイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、冷蔵庫に置いておくよりも、凍らせたほうが鮮度が保たれます。また、時間をかけて冷凍することで味を染みこませることができ、食材がやわらかくなっておいしさもアップします。
あらかじめ味付けはしてありますが、食材や調理方法を変えればアレンジが自由自在なのも下味冷凍のメリットです。メインのお肉に、ピーマンや玉ねぎ、じゃがいもなど、加える野菜を変えるだけで、まったく別のメニューにすることができます。あるいは、バターや小麦粉、牛乳などを加えて煮込めば、クリーム煮の完成です。いつも同じ味で飽きてしまうという心配がいりません。
我が家では鶏のから揚げが人気なので、鶏肉に醤油とみりん、生姜とニンニクを使って下味をつけて冷凍したものを、常にストックするようにしています。夫も子供もから揚げが出てくると喜ぶので、頻繁に食卓に出しても大丈夫な鉄板メニューですね。お弁当に入れるときは、必要な量だけ解凍して使ったりしています。
豚肉に醤油とみりんと生姜を漬けこんだものもよく作ります。そのまま焼いて生姜焼きにしてもいいですし、キャベツや玉ねぎなど、残り物の野菜といっしょに炒めれば、ボリューム感のある一品ができます。夫は野菜を多く摂りたいタイプなので、野菜を多めに入れて調理するようにしています。
下味冷凍に欠かせないアイテムなど豊富なラインナップ
下味冷凍は、調味料と一緒に肉や魚を冷凍することで、そのまま冷凍するより酸化を防げるので、長期保存ができて、味も鮮度も維持できるというメリットもありますが、保存する際にできるだけ空気を抜くことがポイントです。
私は、下味冷凍をする際には必ず、「ジップロック®フリーザーバッグ」を使っています。袋の口がぴっちり閉まるので、空気が入りこみません。汁気があるものでも、漏れる心配がなく使えるので安心です。しかも厚手で素材が丈夫なので、仕事で食材を外に持ち運ぶ際にも使ったりしています。
S・M・Lとサイズがありますが、基本的に自宅で使うのはMサイズ。家族3人の夕食を作る場合に、ちょうど一度で使いきれるサイズ感なので、重宝しています。ご家族の人数や、作る量によってサイズを変えるのがオススメです。
これから下味冷凍を始めてみようという方は、最初はぜひ、塩麹漬けにトライしてみてください。豚肉でも鶏肉でも、どちらでも大丈夫です。調味料ひとつでできるうえに、塩麹につけることでお肉がすごくやわらかくなって美味しくなるんです。
まずはひとつ作ってみて、便利だなと思ったらほかの調理も試してみるといいかと思います。下味冷凍を活用すれば、時短しつつも、毎日の食卓を豊かにできるはずですよ。
◆星野奈々子さんのプロフィール
料理家・フードコーディネーター
日本IBMにてITエンジニアとして働きながら本格的に料理の勉強を始め、退社後にフードコーディネーターとして独立する。現在は書籍、雑誌、企業のレシピ開発、フードスタイリングを中心に活動。「下味冷凍で作りおき」(学研プラス)を出版するなど、作りやすく基本を押さえたレシピが人気。
◆ジップロック®フリーザーバッグ
「パチパチ閉まる」のがわかるウルトラジッパーと、内側から開きにくい密封ジッパーの2種類の異なるジッパーで、密封性が高く、液漏れが不安な食材もおまかせ。さらに開け口にタブが付いているので濡れた手でも開け閉めしやすく、素材が厚手なので食品の酸化を防ぎます。S・M・Lの3サイズ展開。たくさん使う人には大容量タイプが人気です。
◆下味冷凍とは
◆下味冷凍のメリット